2013年

4月

18日

スヌーピー①

スヌーピー
スヌーピー

 

 漫画『スヌーピー』が日本に紹介された頃、

中1だった僕は近所で生まれた子犬を貰ってきた。

ダントツでメス犬が人気だった中、なんだかよたってるオスの子犬だったが、

僕はひと目で気に入り、抱っこして家に帰った。

 

もちろん、スヌーピーと名づけた。

 

 アイヌ犬の混ざった中型の雑種だが、頭がよく大人しい奴だった。

残り物の味噌汁ごはん、蚊が飛び交う暑い庭、気まぐれな散歩…。

今のわんこ様では、もたなかったろう。皮膚病とフェラリアに後年、罹る。

 

 よく学校をさぼってスヌーピーの散歩をしていたが、高校生の時。

神社の裏山で、スヌーピーと恋愛について語っていると…
 

 「ガサッ!」
 

 「ん!」と、見ると、やはり犬を散歩しているおじさん。

 

 「…女はやめとけ!犬は裏切らないぞ!」

 

  …実際、その通りではあった。

 

 

 

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2013年

4月

10日

隣のお姉さん

お姉さん
お姉さん

 

中学校に行く時、大学生らしきお姉さんに声をかけられた。
「歌、うまいのね」
「ん?」純情少年だった僕は頬を赤らめ、
その日ずっと妄想に耽ってた訳だが…。

 

当時、僕は吉田拓郎に凝っていた。
サッカー部のない日は、ギターに夢中になっていた。
しかし、フォークというのは、歌ってこそである。
晴れの日は、だから、裏の崖から夕日に向かって歌ってた。
信じられないが、その頃の僕はまだ歌が少しはうまかった。

 

と、ある日。窓を開ける音がした。
三軒隣の家だった。そこから、あのお姉さんが覗いてた。
(あ、あそこのお姉さんだったのか…)。
急に恥ずかしくなった僕は、
ギターを背負うとコチコチに意識して、
家に戻った。

 

それから、裏の崖で歌う時は、髪の毛を整え、
それなりの服装で歌った。
もちろん、何時、窓が開いて、お姉さんが出てくるか、
そのことで頭はいっぱいいっぱい。

 

「…おまえ、なんでこんな所で歌ってんだ?近所迷惑だろ」

 

突然、声をかけられた。大声で笑う母親。
それから、もう僕は崖で歌うのはよした。
でも「隣のお姉さん」。今でもこの言葉を聞くを、
僕は薄笑いを浮かべ妄想に耽ってしまう。
『祭りのあと』か…。

 

 

 

 

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2013年

4月

09日

更新『ブルー・ボッサ』

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2013年

4月

08日

赤花

蘭

暑さ厳しき折、と暑中見舞いを書き出したら、

 

驟雨が走り、涼しい空気が頬をなでた。

 

冬物は仕舞い込んであるので、パジャマで重ね着に。

 

見れたものではないが、どうせ家に根が生えた身分。

 

文句を言ってくれる人もいない。

 

かはたれ時、微かに甘い香りが漂う。

 

「ああ、此れは」

 

亡くなった父が大切に育てていた東洋蘭だ。

 

生前、父は休みのほとんどすべてをこの東洋蘭に費やした。

 

お陰で真っ黒に日焼けし漁師のようだった。

 

「ほら」

 

たまに父が私に声をかける。赤花が咲いた時だ。

 

残念ながら、東洋蘭の繊細な奇跡に興味もなく、

 

私は「へぇ」と気のない返事をしただけであった。

 

蘭などと言うと、育てるのが難しいと思われるのだが、

 

父が亡くなって、母が一度、植え替えをしただけである。

 

母親はどちらかと言うと、他者に興味を抱かないタイプ。

 

父は繊細で、孤独に育ったこともあり、料理、洗濯、掃除、裁縫と

 

別に当たり前のように「静的」にこなすタイプだった。

 

残念ながら私その両親のあまり芳しくない部分を受け継いでいるようだ。

 

しかし、今年は東洋蘭の香りが妙に鼻を擽る。

 

百合のように過激でも蒲公英のように臆病でもなく、

 

微かに、しかし孤高の清らかさを持って、私を誘う。

 

温室を訪ねると、去年より元気に育っている。

 

勢いがよく、微妙なグラデーションのブルーが冴えている。

 

「ん?」ふと、下段のひとつが少女の唇のようにポチッと赤く咲いている。

 

「赤花かぁ」

 

ちょうど散歩から帰宅した母親に告げる。

 

「まぁ、いい香り。しかし、楽な植物よねぇ。

 

今年は春にそこのバケツの青い液体、

 

少し薄めて、撒いておいたのよ。あれがよかったのね」

 

父の東洋蘭たちは、運に恵まれている方だろう。

 

私にも運を。と、天空を見上げたら雨が降り出した。

 

「さっ、今夜は我が家特製のぎょうざよ!雨戸、閉めて」

 

「おっ、もう6時のニュースか」

 

残念ながら、私は若干、母似である。

 

 

 

 

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2013年

4月

06日

『無題』

弾みで 別れて もう三年
なけなしの 金 懐に
夢を 買うのだ と
今日も 歓楽街

 

想い出 抱えて 言う 台詞
「あいつは いい女 だった」
愛を 信じろ! と 
今日も 呑む焼酎

 

ラジオから 聴こえる 昭和のラブソング
空しさと 悔しさと 遣る瀬無さ

デジタル仕掛けの 女たち

 

携帯メールに 忙しく
恋をするのも
無用だと 親指 空を切る

 

人畜無害の 男には
自己責任 重すぎて
犬を飼うのに
雨の中 ペットショップ

 

手紙が 一通 届きました
彼女と子供の写真
爪を噛んでは
ハッピー!と 独り 手を叩く

 

ラジオから 聴こえる 昭和のラブソング
空しさと 悔しさと 遣る瀬無さ

何処かで きっと 生きていく

 

訳ありの顔 歪ませて
愛は 死ぬのだ と
独り 猪鹿蝶

 

ラジオから 聴こえる 昭和のラブソング
空しさと 悔しさと 遣る瀬無さ

 

ラジオから 聴こえる 昭和のラブソング
空しさと 悔しさと 遣る瀬無さ

 

ラジオから 聴こえる 昭和のラブソング
優しくて 温かい 君が居た

 

 

 

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